SGP-BとSGP-Eの違いを徹底比較|配管選定で失敗しないプロの判断基準

SGP-BとSGP-Eの 違いを徹底比較

配管工事の現場でよく耳にする「SGP-BとSGP-Eの違いって何?」という疑問。

同じJIS G 3452規格の炭素鋼鋼管でありながら、実は製造方法と加工性の違いによって、耐久性や安全性に大きな差が生まれます。

この記事では、SGP-B(鍛接管)とSGP-E(電気抵抗溶接管)の構造・性能・用途をわかりやすく整理し、どんな現場でどちらを選ぶべきかをプロの視点で徹底解説します。

さらに、現場でのトラブル事例や選定チェックリストも掲載。

配管選びを「なんとなく」で済ませたくないエンジニア必見の完全ガイドです。

目次

SGP-BとSGP-Eの違いとは?まずは概要を整理

ここでは、SGP-BとSGP-Eという2種類の鋼管の違いを、製造方法や規格の観点から整理します。

配管を扱う現場では「どちらでも同じでしょ」と思われがちですが、実は選び方ひとつで耐久性や安全性に大きな差が出ます。

まずは、JIS規格で定義されるSGPの基本から見ていきましょう。

SGPシリーズとは?JIS規格での位置づけ

SGPは「Steel Gas Pipe(配管用炭素鋼鋼管)」の略称で、主にガス・水・油・空気などの一般配管に使用される最も標準的な鋼管です。

日本工業規格ではJIS G 3452として定義されており、使用圧力・寸法・温度条件などが厳密に定められています。

この規格が適用されるのは、使用圧力が1.0MPa以下、温度が-15℃〜350℃の範囲における一般配管です。

つまり、一般的な建物や工場の配管において最も多く採用される標準素材といえます。

SGP管は汎用性が高く、住宅の給水配管からプラント設備まで、あらゆる場所で使われています。

ただし、SGPには「製造方法による違い」が存在し、それがSGP-BとSGP-Eという2つの形式に分かれる最大の理由です。

SGP-BとSGP-Eの基本仕様を比較

SGP-BとSGP-Eの違いは、同じSGP規格内でも継目(ジョイント)の作り方にあります。

SGP-Bは「鍛接管」、SGP-Eは「電気抵抗溶接管」と呼ばれ、製造工程が根本的に異なります。

項目 SGP-B(鍛接管) SGP-E(電気抵抗溶接管)
製造方法 熱と圧力を加えて圧着接合(鍛接) 電気抵抗によって金属を溶融し接合(電縫)
継目の特徴 圧着による金属融合 溶融による強固な一体化
主な使用径 小径〜中径(主に100A以下) 中径〜大径(全径対応)
加工性 フレア加工不可(割れやすい) フレア加工対応可能
耐圧・耐熱性能 同等(JIS規格準拠) 同等(JIS規格準拠)
コスト やや低い(生産性高) やや高い(品質安定)
在庫性 小径中心に豊富 全径で豊富(流通安定)

この比較からわかるように、性能そのものはほぼ同等でも、加工性と適用径に明確な差があります。

特に、SGP-Eがフレア加工(端部を広げる加工)に対応している点は、現場での施工自由度を大きく左右します。

型番の意味と製造メーカーによる違い

SGP管の型番表記は、製造方法や仕上げ方法を示す記号で構成されています。

基本的な形式は「SGP – [製造方法] – [仕上げ方法]」です。

区分 記号 説明
製造方法 B 鍛接(Butt Weld)
製造方法 E 電気抵抗溶接(Electric Resistance Welded)
仕上げ方法 H / C / G 熱間・冷間・無仕上げなど

例えば、「SGP-E-H」は「電気抵抗溶接+熱間仕上げ」という意味になります。

一方、「SGP-B」は「鍛接による接合のみ」で、追加仕上げを省略した標準的な仕様です。

また、表面処理の違いも重要です。

  • 黒管:亜鉛メッキなし。蒸気・油・エア配管など乾燥環境向け。
  • 白管:内外面に亜鉛メッキあり。水・空調・消火配管など耐食性が必要な用途に適用。

さらに、主要メーカー(日本製鉄、JFEスチールなど)によっては、溶接部の耐食性を強化した改良版(例:「SGP-MZ」など)を提供しています。

これは溶接部の腐食リスクを低減するもので、特に水配管や屋外設備では採用価値が高いです。

要するに、SGP-BとSGP-Eは「同じ規格に属しながらも、製造思想がまったく異なる2つの製品」なのです。

選定の際は、配管径・加工方法・環境条件を総合的に考慮することが、信頼性を確保する最初のステップとなります。

 

性能面の違いを徹底比較

この章では、SGP-BとSGP-Eの性能面での違いを、圧力・温度・材質・耐食性といった技術的な観点から比較します。

同じJIS G 3452規格に属するため基本性能は近いものの、製造プロセスの差が実際の使用環境でどう影響するのかを見ていきましょう。

圧力・耐熱・強度の違い

まず、基本性能の比較です。SGP-BもSGP-Eも、どちらもJIS G 3452で定義された基準を満たしており、設計上の圧力や温度条件において大きな差はありません。

以下の表に主な性能値をまとめました。

項目 SGP-B SGP-E
使用圧力 1.0MPa以下 1.0MPa以下(同等)
使用温度 -15℃〜350℃ -15℃〜350℃
引張強さ 290N/mm²以上 290N/mm²以上
適用用途 低圧水・蒸気・エアライン 同左+高精度用途

表からもわかるように、数値上は両者に明確な差はありません。

ただし、実際の現場では継目強度と加工精度に注目すべきです。

SGP-Eは電気抵抗溶接による接合のため、溶接部がより均一で、熱応力に対して安定性があります。

特に高温の蒸気配管などでは、SGP-Eの方が長期的な強度保持性能に優れています。

材質・コーティング・加工精度の差

SGP-BとSGP-Eはどちらも同じ炭素鋼を素材としています。

JIS G 3452では、炭素(C)0.06〜0.15%、マンガン(Mn)0.30〜0.60%といった化学成分が規定されており、これ自体は両者で共通です。

つまり、材質上の耐食性・導電性・強度は基本的に同等といえます。

ただし、仕上げ方法や表面処理によって、実際の使用感や耐久性には差が出ます。

区分 黒管 白管(亜鉛メッキ)
耐食性 低い(錆びやすい) 高い(防錆性に優れる)
用途 蒸気・油・エアー 給水・消火・空調
耐用年数 5〜10年 15〜30年(環境条件による)

さらに、SGP-Eは製造ラインの自動化が進んでいるため、寸法公差や円筒精度が安定しています。

これにより、ねじ切りや溶接などの後加工の精度も高く、結果的に施工品質のばらつきを抑える効果があります。

一方で、SGP-Bはコストが低い反面、微細な寸法誤差が生じやすく、大径では適用が難しい場合があります。

耐食性・耐久性に関する評価

SGP管を長期使用する際、最も重要となるのが耐食性耐久性です。

黒管は表面保護がなく、湿度の高い環境では数年で錆が発生します。

一方、白管(亜鉛メッキ)はメッキ層が防錆膜として働き、屋内使用なら20年以上の耐用年数を確保できます。

耐食性の差は製造方法よりも表面処理と使用環境によるところが大きいですが、SGP-Eでは溶接部の一体化により、局部腐食の発生リスクが低くなります。

ただし、水質が塩分を含む場合など、電縫部での溝状腐食が起きるケースも報告されています。

JFEスチールなどのメーカーでは、この問題に対応するため、耐食性を改良した「SGP-MZ」などの派生型が開発されています。

こうした改良製品は、長期的な設備保守コストを抑える点でも有効です。

結論として、性能面での差は数値ではなく「使用環境における安定性」に現れるといえるでしょう。

SGP-Bは小径・短期使用・低コスト重視に、SGP-Eは大径・耐久性重視・加工多用環境に適しています。

 

用途と選び方のポイント

ここでは、SGP-BとSGP-Eを実際の現場でどう選定すべきかを、流体の種類や使用環境ごとに解説します。

配管の材質選定はコストや在庫性だけでなく、法令、安全性、加工性など複数の観点から最適解を導く必要があります。

配管用途・流体特性に応じた選定基準

まず、配管用途と流体の性質を基準にした選定方針を整理しましょう。

以下の表は、主要な用途別に推奨されるSGPの種類をまとめたものです。

用途 推奨仕様 代替可 非推奨
給水配管 SGP-E白管 SGP-B白管(小径) SGP-E黒管
蒸気配管 SGP-E黒管 SGP-B黒管(小径) 白管
油配管 SGP-E黒管 SGP-B黒管 白管
ガス配管 SGP-E黒管 SGP-B黒管(小径) 白管
エアー配管 SGP-E黒管 SGP-B黒管 白管
消火配管 SGP-E白管 なし SGP-B

このように、用途ごとに選ぶべき仕様が異なります。

SGP-Eは全径で供給が安定しており、フレア加工や溶接などの多様な施工に対応できるため、総合的に優位です。

一方で、SGP-Bは小径配管やコスト優先の現場では依然として選ばれるケースがあります。

基本原則として、「迷ったらE管を選ぶ」ことが安全で確実な判断です。

産業別(ガス・水道・化学プラント)での推奨モデル

次に、業種ごとの実務的な使い分けを見てみましょう。

  • 水道・空調設備:SGP-E白管が主流です。耐食性と施工のしやすさを両立し、20年以上の耐用年数が期待できます。
  • ガス設備:SGP-E黒管が標準。法令遵守(高圧ガス保安法)上もE指定が原則です。
  • 化学プラント:腐食性流体が多く、外面防食や内面ライニングが前提です。黒管ベースで処理を追加する場合はSGP-Eが適しています。
  • 消防設備:SGP-E白管一択です。SGP-Bでは規格非適合となる場合があります。

特に化学プラントなど高温・高湿の環境では、SGP-Eをベースに防食処理を追加するケースが多く見られます。

SGP-Bは短期使用や仮設ラインで選ばれる程度に留まります。

コスト・在庫性・メンテナンス性の比較

最後に、経済性や保守の観点から両者を比較してみましょう。

項目 SGP-B SGP-E
価格 やや安い(〜10%差) やや高い
在庫性 小径(〜65A)豊富 全径で安定供給
納期 即日〜短納期 通常1週間前後
施工自由度 フレア不可・溶接可 溶接・フレア・ねじすべて可
耐久性 中程度(短期使用向け) 高耐久(長期設備向け)

コストだけを見るとSGP-Bが魅力的ですが、トータルコスト(修理・交換・再施工を含む)ではSGP-Eの方が有利になるケースが多いです。

特に、消火・給水・蒸気など安全性が関係するラインでは、法令上もSGP-Eが推奨または指定されています。

一時的なコストよりも、長期的な信頼性を優先することが最適な選定の鍵です。

現場でのトラブル事例と対策

この章では、実際の施工・運用現場で起きたSGP-BとSGP-Eの選定ミスによるトラブル事例をもとに、原因と防止策を整理します。

机上では同等に見える2つの管種ですが、現場ではわずかな選定ミスが重大な不具合につながることがあります。

SGP-EをSGP-B代替で使用する際の注意点

SGP-EをSGP-Bの代わりに使うことは安全上の問題はありませんが、逆にSGP-BをSGP-Eの代替として使う場合はリスクが高まります。

特に大径配管や高温・高圧環境では、鍛接による接合部が応力集中を起こしやすくなります。

想定シーン リスク内容 推奨対策
大径配管(100A超) 継目部の亀裂・破損リスク SGP-Eを使用。SGP-Bは小径に限定。
高温流体(蒸気・熱水) 熱疲労による割れ 電縫(E)管で強度確保。
フレア加工を伴う配管 加工時の割れ・欠損 SGP-E限定で加工。
消防・給湯配管 法令上の非適合 E管指定を遵守。

SGP-Bは小径・低圧用途では十分な性能を発揮しますが、誤用によって重大な事故や水漏れを引き起こす可能性があります。

特に「SGPだから大丈夫」と思い込むことが、現場トラブルの最大要因です。

誤選定による不具合・リーク事例

以下では、実際に報告されている代表的な不具合事例を紹介します。

  • 事例1:フレア加工中の割れ
    ガス配管施工でSGP-Bを使用し、ラッパジョイント接続のため端部をフレア加工したところ、加工途中で割れが発生。
    原因:鍛接継目が熱と圧力の再加熱に弱い。
    対策:フレア加工が必要な現場では必ずSGP-Eを選定。
  • 事例2:消火配管でのリーク
    商業施設改修時にSGP-E白管指定をSGP-B白管で代替。試験圧1.75MPaで微小リーク発生。
    原因:SGP-B継目の応力集中。
    対策:法令適合確認と圧力試験前の材質検証を徹底。
  • 事例3:蒸気配管の早期腐食
    工場蒸気ラインにSGP-B黒管を採用し、3年で局所腐食。
    原因:鍛接部の金属組織差による局部電池腐食。
    対策:蒸気配管はSGP-E黒管+外面防食処理を推奨。
  • 事例4:大径配管での継手漏れ
    100A超の冷却水ラインにSGP-Bを使用。運転時の水圧変動で継手部から漏れ。
    原因:鍛接継目の疲労耐性不足。
    対策:100A以上では必ずSGP-Eを指定。

どの事例にも共通しているのは、「製造方法の違いが想定外の弱点を生む」という点です。

設計段階でE指定がある場合、その理由には明確な安全根拠があることを理解しておく必要があります。

安全性・規格適合性を守るためのチェックリスト

最後に、設計・施工・運用段階で活用できる実務的なチェックリストを示します。

これを使うことで、SGP-B/E選定ミスを事前に防ぐことができます。

工程区分 確認内容
設計 用途・圧力・温度・流体を明確化し、法令・基準を確認。
材料調達 型番(B/E・黒/白)を納品書と照合。メーカー証明書を保管。
施工 図面指定の確認。フレア加工・溶接の可否を事前確認。
試験・検査 圧力試験・漏れ試験の実施前に材質確認を再チェック。
保守・運用 使用環境の記録、腐食点検周期の設定、異常時の対応方針を明確化。

「どの現場でもSGP-Eで統一すれば安心」という考えは正しく、結果的にリスク回避と長期安定運用につながります。

特に消防・給湯・ガスなどの安全設備では、E管指定を遵守することが必須条件です。

まとめ:SGP-BとSGP-Eの違いを正しく理解して選ぶ

ここまで見てきたように、SGP-BとSGP-Eは同じJIS G 3452規格の中に含まれるものの、その製造方法や加工性には明確な違いがあります。

最後に、この記事全体を通して押さえておくべきポイントを整理し、実務での選定基準を明確にしておきましょう。

スペックと用途の要点まとめ

SGP-BとSGP-Eの本質的な違いは「製造方法」と「継目の性質」です。

数値上の性能は同じでも、製造工程が異なることで、実際の加工性や長期耐久性に差が生まれます。

項目 SGP-B(鍛接管) SGP-E(電気抵抗溶接管)
製造方法 熱と圧力で圧着(鍛接) 電気抵抗で溶融接合(電縫)
加工適性 フレア加工不可 フレア加工対応可
使用圧力 1.0MPa以下 1.0MPa以下
使用温度 -15℃〜350℃ -15℃〜350℃
適用径 主に100A以下 全径対応
耐久性 中程度 高耐久
コスト やや低い やや高い(信頼性高)

したがって、SGP-Bは小径・短期・低コスト重視の用途に向き、SGP-Eは大径・高信頼・長期使用に適しています。

「どちらが優れているか」ではなく、「どの環境でどちらが最適か」を見極めることが重要です。

現場で後悔しないための選定フロー

最後に、配管設計・施工の現場で迷ったときに使える簡易フローチャートを紹介します。

確認ステップ 判断基準 推奨仕様
① 配管径を確認 100A以上か? SGP-E(大径対応)
② 流体の種類 水・蒸気・ガスなど 白管=耐食重視、黒管=耐熱重視
③ 加工の有無 フレア加工を行う? YES → SGP-E必須
④ 法令適合 消火・給湯・ガスなどの指定用途か? YES → SGP-E指定を厳守
⑤ 使用環境 屋外・湿潤環境か? 白管を推奨(亜鉛メッキ)

このフローを活用すれば、どのような現場条件でも最適な選定が可能です。

特に、消防法や高圧ガス保安法などで「E管指定」がある場合は、例外なく遵守してください。

また、設計段階で型番指定を明記することも重要です。

「SGP」とだけ図面に記載してしまうと、施工者がB管を選んでしまうケースがあり、後の検査や運用でトラブルの原因になります。

配管は一度設置すると交換が難しく、トラブル時の修繕コストも高額です。

そのため、初期段階での正しい選定こそが最も費用対効果の高い安全対策といえます。

SGP-BとSGP-Eの違いを正しく理解し、用途に応じて確実に選び分けること。

それが、配管トラブルを未然に防ぎ、安全で長持ちする設備を実現する最も基本的なステップです。

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