社会人だけど大学に行きたい30代へ｜今からでも間に合う学び直し完全ガイド

2025年12月8日

「社会人だけど大学に行きたい」——そう思っても、仕事や家庭を抱えた30代にとって大学進学は現実的なのか、不安になりますよね。

でも、今は通信制・夜間・オンライン大学など、働きながら学べる環境が整っています。

さらに教育訓練給付金や奨学金を活用すれば、経済的な負担もぐっと軽くなります。

30代の学び直しは「遅い」どころか、社会経験を積んだからこそ理解できる“深い学び”のタイミングです。

この記事では、社会人が大学に行くための具体的な方法、両立のコツ、学費支援制度、そして実際に挑戦した人たちの体験談まで、すべてをわかりやすく解説します。

今からでも遅くない。
「学び直し」は、あなたのキャリアを再起動させる最強の自己投資です。

社会人だけど大学に行きたい——30代が最初に知るべき現実

「社会人だけど大学に行きたい」。

そう思った瞬間、胸の奥でざらつくような不安がよぎるかもしれません。

「もう遅いのでは」「仕事と両立できるのか」——そうした迷いは、実はほとんどの人が抱く自然な感情です。

けれども、今は“人生100年時代”。30代からの学び直しは、遅れを取り戻す行為ではなく、むしろこれからの40年を設計し直す投資です。

ここでは、社会人が大学に通うために押さえておくべき「3つの現実」と「その乗り越え方」を整理します。

30代で大学に通うのは遅い？——答えは「いいえ」

実際、大学で学ぶ社会人の年齢層は想像以上に広いです。

放送大学の在学生データによると、30〜40代の学生は全体の約4割を占めています。

つまり、あなたのように「もう一度学びたい」と思う社会人は決して少数派ではありません。

むしろ30代は、学ぶ目的が最も明確な世代なのです。

20代の「就職のための学び」ではなく、30代の「自分の人生を更新するための学び」。その違いは、学びの深さを決定づけます。

年代	学びの特徴	目的
20代	知識を蓄える段階	就職・スキル習得
30代	経験を再構築する段階	キャリア再設計・資格取得
40代以降	知識を共有・応用する段階	自己実現・社会貢献

「遅い」のではなく、「深い」。

これが、30代から学ぶ人たちに共通する最大の強みです。

社会人が大学に進学する3つのルート

社会人が大学に通うには、主に3つのルートがあります。

学び方	概要	メリット	注意点
通学制	平日昼間にキャンパス通学	教授・学生とのリアルな交流	仕事との両立が難しい
夜間部	18時以降に開講される課程	働きながら通学可能	通学時間と体力の確保が必要
通信制・オンライン	自宅・スマホで受講可能	柔軟・低コスト・全国から受講可	自己管理力が必須

最近では、サイバー大学や東京通信大学のように完全オンラインで卒業できる大学も登場し、物理的な制約はほぼなくなりました。

つまり、「働きながら学ぶ」ことは、今や“特別”ではなく“現実的な選択肢”なのです。

30代社会人が直面する壁と乗り越え方

とはいえ、理想と現実の間には壁があります。

多くの社会人がぶつかるのは、時間・お金・周囲の理解という3つの障壁です。

課題	乗り越えるヒント
時間がない	通勤時間を「第2の教室」にする。朝30分の“習慣化”が鍵。
お金が心配	教育訓練給付金・奨学金・減免制度を活用。
理解が得られない	家族や上司に「学びがキャリアにどう活きるか」を数字で示す。

壁を避けるのではなく、設計して越えていく。

30代の学び直しは「思考のリブート」から始まるのです。

なぜ30代で大学に行きたいと感じるのか？その心理と背景

30代で「大学に行きたい」と思う背景には、誰にでも共通する3つの感情があります。

それは「停滞感」「焦燥感」「再挑戦への衝動」です。

この章では、その心理の正体を読み解き、学び直しが人生をどう動かすのかを考えます。

キャリアの停滞と“自分を更新したい”という欲求

社会に出て10年。ある程度の経験を積むと、ふと立ち止まる瞬間が訪れます。

「この先も同じ仕事を続けていいのだろうか」

「気づけば、成長を感じなくなっている」

その小さな違和感こそが、学び直しのスイッチです。

現状を変えたい人ほど、学び直しのエネルギーを秘めているのです。

学びが停滞感を打破する理由

新しい知識を得ることは、脳にとって“報酬”です。

心理学では、これを「自己効力感」と呼びます。つまり「自分はやればできる」という感覚。

自己効力感が高まると、仕事・家庭・人間関係などあらゆる面で前向きな行動が増えることが研究でわかっています。

変化前	変化後（学び直し後）
何をしても手応えがない	成果が小さくても達成感を感じられる
未来がぼんやりしている	「次に何を学ぶか」が明確になる
自信が薄れている	「できる自分」を再確認できる

学びが“自己肯定感”を取り戻すプロセス

30代で学ぶことの最大の価値は、「再び自分を肯定できるようになる」ことです。

社会では成果で評価される日々が続きますが、学びは純粋に「自分のための努力」。

誰に認められなくても、昨日の自分より前進できるという感覚が得られるのです。

そして、その姿を見て育つ子どもたちは、学びを「大人も楽しむもの」として自然に受け入れます。

つまり、あなたの学び直しは、家族全体の価値観を変える力を持っているのです。

社会人が選ぶべき大学のタイプと学部の選び方

30代社会人が大学に進学するなら、まず考えるべきは「どの大学で、何を学ぶか」です。

選択肢が多いからこそ、自分の目的と現実的な条件をすり合わせることが大切です。

この章では、目的別の学部選びから、通信制・夜間・オンライン大学の比較までを整理します。

目的別・おすすめ学部一覧（キャリア／資格／教養）

学部を選ぶときの最大のポイントは、「大学を卒業した後に、どんな変化を得たいか」を明確にすることです。

目的がキャリアアップなのか、資格取得なのか、あるいは純粋な知的探究なのかで、選ぶ学部はまったく異なります。

目的	おすすめ学部	特徴・将来の活用例
キャリアアップ	経済学部・経営学部・情報学部	ビジネスやデータ分析、マネジメント力を体系的に学べる
資格取得	教育学部・福祉学部・心理学部	教員免許、社会福祉士、認定心理士など国家資格に直結
教養・自己成長	教養学部・文学部・芸術学部	思考力・表現力を磨き、キャリアの幅を広げる

「資格が目的」なら、その資格が取得できる学部かどうかを必ず確認しましょう。

「キャリア転換」なら、今の業界と関わりがあり、かつ次のステップに活かせる学部を選ぶのがポイントです。

通信制・夜間・オンライン大学の違いと比較

働きながら学ぶ社会人にとって、学び方の選択は極めて重要です。

それぞれの特徴を比較して、自分の生活スタイルに合う方法を選びましょう。

タイプ	主な特徴	学費目安	卒業率
通信制大学	レポートと試験中心。スクーリングあり	4年間で約50〜70万円	10〜20%
夜間大学	18時以降に通学。実授業中心	4年間で約120万円	60〜70%
オンライン大学	全授業がオンライン完結型	4年間で約150〜200万円	70%以上

近年注目を集めているのは、サイバー大学や東京通信大学などの完全オンライン型です。

スマホで授業を受けられるため、通勤時間や昼休みなどを有効に使えます。

自分のペースで確実に続けられる仕組みが整っているかが、大学選びの決め手です。

社会人に人気の大学ランキング【卒業率・費用・柔軟性で比較】

続けやすさ・学費・サポート体制で評価が高い通信制・オンライン大学を比較してみましょう。

大学名	特徴	卒業率
サイバー大学	IT・ビジネス分野に強く、フルオンラインで完結	約77%
産業能率大学通信課程	ビジネス実践教育が中心。学費が安い	約75%
人間総合科学大学	健康・心理系に強く、担任制サポートあり	約80%
東京通信大学	動画授業が中心でスキマ時間学習が可能	約70%
放送大学	学費が圧倒的に安く、教養を幅広く学べる	約50%

どの大学にも共通するのは、「学びを諦めない仕組み」が整っていることです。

入学難易度よりも、学びを継続できる環境があるかどうかを優先しましょう。

仕事・家庭・学業を両立するための時間術とマネープラン

大学に通う社会人にとって、最大の壁は「時間」と「お金」です。

この章では、実際の両立スケジュールと、学費を最小限に抑える現実的な戦略を解説します。

実例で見る1日のスケジュールと時間の作り方

まずは、働きながら大学に通う社会人の一日の例を見てみましょう。

時間帯	行動
6:30〜7:30	朝勉強（30分〜1時間）
8:00〜9:00	通勤中に講義動画視聴
18:00〜19:00	帰宅途中にレポート構想
21:30〜23:00	夜の学習時間（自宅・オンライン）

ポイントは、「新しい時間を作る」よりも「既存の時間を再設計する」こと。

朝・通勤・夜の30分を積み重ねれば、週10時間の学習が可能になります。

通勤中は耳で聞ける講義を活用（例：放送大学、Audible学習）
夜は「25分勉強＋5分休憩」を繰り返すポモドーロ法で集中
週末は1コマ2時間の“まとめ学習”を習慣化

学びは時間がある人がするものではなく、時間を設計できる人がするものです。

教育訓練給付金・奨学金など学費支援制度の完全ガイド

次に、多くの社会人が見落としがちな「国の支援制度」を整理します。

制度名	内容	給付上限
一般教育訓練給付金	講座費用の20%を支給	上限10万円
特定一般教育訓練給付金	講座費用の50%を支給	上限25万円
専門実践教育訓練給付金	最大80%の学費支援（MBA・看護・法科大学院など対象）	上限年間64万円

さらに、ひとり親家庭には「高等職業訓練促進給付金」（月10〜14万円）もあり、条件が合えば生活費も支援されます。

通信制大学や夜間大学も対象になるため、事前にハローワークで確認しましょう。

家族と上司の理解を得るための伝え方

最後に重要なのは、周囲の理解を得ることです。

学び直しは個人の挑戦であると同時に、家庭や職場の協力が欠かせません。

相手	伝えるポイント
家族	「家計にどう影響するか」「どんなメリットがあるか」を数字で共有する
上司	「学んだ内容が業務にどう活きるか」を具体例で伝える

「家族を説得する」ではなく、「一緒に未来を描く」スタンスが大切です。

理解は説得よりも共感から生まれる——これは学び直しにおいても同じです。

30代で大学に行った社会人のリアル体験談

実際に30代で大学進学を果たした社会人たちは、どんなきっかけで決断し、どんな壁を乗り越えたのでしょうか。

この章では、リアルな体験談を通して「続けられる人」の共通点を読み解きます。

非正規から正社員へ——通信制大学で人生を変えたAさん

34歳で通信制大学に入学したAさんは、高卒・非正規の経歴にずっとコンプレックスを抱いていました。

「求人票に“大卒以上”と書かれているだけで、応募すらできないことが多かった」と語ります。

思い切って産業能率大学に入学し、4年間で学士号を取得。卒業後は大手企業の正社員として採用されました。

学歴を得たことよりも、“自分にはできる”という自信を取り戻せたのが最大の収穫だったといいます。

子育てと学業を両立——放送大学で学び続けたBさん

育児とパート勤務を両立するBさん（当時36歳）は、毎晩子どもを寝かしつけたあと、放送大学の講義動画を観るのが日課でした。

最初は「家事の合間に勉強なんて無理」と思っていたそうですが、1日30分の積み重ねが自信に変わったと話します。

「学ぶ姿を子どもが見て、“ママも頑張ってる”と笑ってくれた。それが何よりの支えでした」。

結果、教育学の学士号を取得。現在は非常勤講師として働きながら、大学院進学を目指しています。

仕事・育児・大学——すべてを両立させたCさんのスケジュール

時間帯	内容
5:30〜6:30	子どもが起きる前に30分勉強
8:30〜17:30	仕事（昼休みに10分の動画講義）
21:00〜22:30	子ども就寝後にオンライン授業
週末	家族と過ごす＋レポート作成

無理に長時間勉強しなくても、「毎日机に向かう」というリズムを保つことで継続できたそうです。

途中で辞めずに卒業できた人の共通点

通信制大学の平均卒業率は10〜20％といわれますが、卒業できた人には明確な共通点があります。

目的が明確：「なぜ学ぶのか」が言葉で説明できる
小さな習慣を積み上げている：毎日の10分を大切にする
周囲の協力を得ている：家族・同僚に応援される環境をつくる
「できる方法」を探す：完璧よりも継続を優先

特別な才能ではなく、地味な継続こそが成功の最大の要因です。

大学進学を決める前に考えるべき3つのこと

「よし、大学に行こう」と思い立っても、勢いだけで入学してしまうと後悔することがあります。

ここでは、入学前に必ず考えておくべき3つの視点を紹介します。

1. 「なぜ大学に行きたいのか」を言語化する

まず、ノートの真ん中に「大学で何を得たいか」を書き出してください。

そして、その周囲に「なぜそれが必要なのか」「それを得たら何が変わるのか」を具体的に書いていきます。

たとえば「キャリアアップしたい」だけでなく、

→ 3年後に年収＋100万円を実現したい
→ そのために経営学を体系的に学びたい
→ 在学中に資格を2つ取得する

このように具体化することで、学びの方向性とモチベーションが明確になります。

2. 仕事と学業、どちらを優先すべきか

両立は可能ですが、常に100％は難しいのが現実です。

どちらに比重を置くかを、あらかじめ決めておくことが大切です。

「今の仕事を軸に、学びをプラス」する場合：通信制・オンライン型が最適
「学びを軸に、キャリアを再構築」する場合：通学制や夜間部が向いている

優先順位を決めることは、「あきらめることを決める」ことでもあります。

しかし、それは決して後退ではなく、戦略的な集中です。

3. 失敗しない学習計画と「撤退ライン」を決めておく

現実的な計画を立てることで、途中で挫折するリスクを大きく減らせます。

長期目標：4年後に卒業、資格取得、転職を実現
中期目標：1年ごとに単位取得数を設定
短期目標：1ヶ月ごとにレポート提出・試験計画を立てる

また、あらかじめ「撤退ライン」も決めておきましょう。

「学費がこれ以上かかったら一度休学」「家庭に支障が出たら調整する」など、ラインを引いておくと冷静な判断ができます。

学び直しは完璧な計画ではなく、柔軟に軌道修正しながら前に進む旅です。

まとめ｜30代で大学に行くという選択が、人生を再起動させる

「社会人だけど大学に行きたい」。

この想いは、キャリアの焦りでも、学歴コンプレックスでもなく、“自分をもう一度動かしたい”という健全な衝動です。

30代で大学に進学することは、単なる「資格の取得」ではありません。

それは、これまでの経験と知識を再構築し、「自分の人生を再設計する」プロセスなのです。

30代の学びは「遅い」ではなく「深い」

20代の学びが“基礎”だとすれば、30代の学びは“応用”です。

社会経験を積んだあなたは、知識をただ覚えるのではなく、「なぜ必要なのか」「どう活かせるのか」を具体的に理解できます。

これは若い学生にはない、大人だけの特権です。

30代で学ぶことは、知識の獲得ではなく、知恵の再構築。

社会で得た実感をもとに学ぶことで、理論が現実に繋がり、すべての学びが“腹落ち”するようになります。

学び直しがもたらす3つの変化

30代で大学に行くことで、多くの人が次のような変化を実感しています。

変化	具体的な効果
①キャリア	転職・昇進・独立など選択肢が広がる
②メンタル	自己肯定感・達成感が高まり、ストレス耐性が上がる
③人間関係	世代や職種を超えた出会いが新しい視野を広げる