天照大御神の掛け軸を「いつまで飾ればいいの？」と悩んだことはありませんか。
正月だけなのか、年中掛けてもいいのか――その答えには、信仰と暮らしの知恵が深く関わっています。
本記事では、天照大御神の掛け軸を飾る期間と外すタイミング、正しい祀り方や保管方法、さらには処分や新調の流れまでをわかりやすく解説します。
日本人が古来から大切にしてきた「神様を暮らしの中に迎える心」を、現代の家庭でも無理なく実践できるよう、丁寧にガイド。
この記事を読めば、天照大御神の掛け軸を正しく祀り、家族の平安と幸福を長く守る方法がすべてわかります。
天照大御神の掛け軸とは？意味とご利益を正しく理解しよう
天照大御神の掛け軸は、単なる装飾ではなく、家族を見守る「光の象徴」として代々受け継がれてきた神聖な存在です。
ここでは、天照大御神がどのような神様なのか、そしてなぜ家庭で掛け軸として祀られるのかを、信仰と文化の両面から詳しく見ていきましょう。
天照大御神とは？日本神話における位置づけ
天照大御神（あまてらすおおみかみ）は、日本神話の中心に位置する太陽の神です。
名前の通り「天を照らす偉大な神」を意味し、光と秩序を司る存在として古くから崇められてきました。
『古事記』によれば、伊邪那岐命（いざなぎのみこと）が禊（みそぎ）をした際、左目から誕生したと伝えられています。
弟の須佐之男命（すさのおのみこと）とともに「三貴子（みはしらのうずのみこ）」と呼ばれ、天界・地上・海原の世界をそれぞれ支配する三神の一柱です。
最も有名な神話が「天岩戸（あまのいわと）」です。弟の暴挙に心を痛めた天照大御神が岩戸に隠れると、世界は闇に包まれ、作物も枯れてしまいました。
困り果てた神々が祭りを開き、岩戸を少し開けた瞬間に天照大御神が再び姿を現すことで、世界に光が戻ったのです。
この物語は、「太陽の恵みがなければ命は成り立たない」という自然信仰の原点を象徴しています。
また、天照大御神は皇室の祖神（こうそしん）として、天皇の系譜の始まりでもあります。
天照大御神の孫・瓊瓊杵尊（ににぎのみこと）が地上に降り立った「天孫降臨」の神話は、天皇家の正統性の根拠となりました。
そして、そのご神霊を祀るのが三重県の伊勢神宮 内宮（ないくう）です。
ここは全国の神社の頂点に立つ場所であり、天照大御神は「日本人全体の総氏神」として、今も多くの参拝者の信仰を集めています。
掛け軸として祀る意味と家庭でのご利益
天照大御神の掛け軸は、「御神号（ごしんごう）」と呼ばれる神の名を墨書したものです。
この掛け軸は単なる絵ではなく、神棚に祀るお札と同じく神の御霊が宿るご神体として扱われます。
家庭にこの掛け軸を掲げることは、伊勢神宮の神様を自宅にお迎えすることと同義です。
つまり「神社に行かなくても、家の中で日々の感謝と祈りを捧げられる」形なのです。
| ご利益の種類 | 意味・内容 |
|---|---|
| 開運・願望成就 | 国を照らす太陽神として、あらゆる願いを明るく導く。 |
| 家内安全・家庭円満 | 家族間の調和や安定をもたらし、争いを鎮める。 |
| 豊作・商売繁盛 | 太陽の恵みにより、農業や仕事に豊かさを授ける。 |
| 厄除け・邪気払い | 強い浄化の力で、災厄や不運を遠ざける。 |
掛け軸を床の間に掲げ、朝に軽く一礼し「今日も一日、家族が無事に過ごせますように」と祈る。
そのわずかな時間が、日々の生活を整え、家族の絆を深めるきっかけとなります。
天照大御神の掛け軸は、家族の幸福と調和を支える「光の守り」です。
日々の祈りが、何気ない暮らしを清らかにし、心に安らぎを灯してくれるのです。
天照大御神の掛け軸はいつまで飾る？期間とタイミングの基本
この章では、天照大御神の掛け軸を「いつまで飾るべきか」について詳しく解説します。
正月の特別な期間だけでなく、一年を通して飾る家庭も増えていますが、地域や風習によって考え方が異なるため、自分の家庭に合った方法を見つけることが大切です。
一般的な飾り期間（正月・通年）と考え方
天照大御神の掛け軸は、古くから正月の慶事掛けとして飾られるのが一般的です。
一年の始まりに家族の無事と繁栄を祈り、神様を迎える意味が込められています。
飾り始める時期は、縁起の良い12月28日が最適とされ、29日（苦）や31日（一夜飾り）は避けるのが伝統です。
そして、関東では1月7日（松の内）、関西では1月15日（小正月）まで飾るのが一般的な目安とされています。
ただし、天照大御神は「日本の総氏神」として年中を通じて祀ることも可能です。
この場合は年中掛け（ねんじゅうがけ）と呼ばれ、日々の暮らしの中で神様を敬う象徴として飾り続ける家庭も少なくありません。
| 飾る目的 | 飾り始め | 外す時期 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 正月飾り | 12月28日頃 | 1月7日（関東）／1月15日（関西） | 新年を迎える慶事掛けとして最適 |
| 年中掛け | 通年 | 2〜3ヶ月ごとに掛け替え | 神様を常に祀る家庭信仰の象徴 |
年中掛けにする場合も、湿気や日光による劣化を防ぐために定期的な掛け替えを行いましょう。
たとえば2〜3ヶ月ごとに桐箱へしまい、陰干しを行うことで掛け軸を長持ちさせることができます。
神様への敬意と、掛け軸を守る手入れの両立が大切です。
「いつまで掛けていい？」の正しい答え
「天照大御神の掛け軸はいつまで掛けていいの？」という疑問に、実は明確な期限はありません。
結論から言えば、祈りの気持ちを持っている間はいつまででも飾って構わないのです。
正月飾りとしての場合は松の内で外すのが一般的ですが、家庭の事情や地域の風習によって柔軟に対応して問題ありません。
むしろ大切なのは、「形」ではなく心のあり方です。
感謝の心を忘れずに祀っている限り、天照大御神は一年中あなたの家族を照らしてくださいます。
掛け替えのタイミングと年中行事の関係
掛け軸を替えるタイミングは、季節の移り変わりや年中行事に合わせると美しく見えます。
たとえば、春は桜や梅の掛け軸、夏は清涼感のある山水画、秋は紅葉、冬は南天や雪景など。
こうした掛け替えの合間に天照大御神の掛け軸を飾ることで、神聖さと季節感を両立できます。
| 季節 | おすすめ掛け軸 | 掛け替え時期 |
|---|---|---|
| 正月（1月） | 天照大御神、松竹梅、鶴亀など | 12月28日〜1月15日頃 |
| 春（3〜4月） | 桜、紅白梅、桃 | 2月下旬〜4月初旬 |
| 夏（6〜8月） | 朝顔、涼風景、山水画 | 6月〜8月中旬 |
| 秋（9〜11月） | 紅葉、菊、月見 | 9月〜11月 |
このように、掛け軸は季節の移ろいとともに掛け替えるのが理想的です。
ただし、現代の生活スタイルでは毎月替えるのが難しい場合もあります。
その場合は、季節の変わり目ごと（年4回）の掛け替えでも十分です。
無理なく続けられる方法こそ、信仰を生活に根付かせる鍵です。
天照大御神の掛け軸は、飾る期間よりも「祀る心」が大切。
家庭のリズムに合わせて大切に扱えば、掛け軸は何十年先までも美しく輝き続けます。
掛け軸の祀り方・外し方を正しく学ぼう
天照大御神の掛け軸は、神様の御名を記した神聖なものです。
正しい方法で飾り、丁寧な手順で外すことが、神様への礼儀を表す行為となります。
この章では、掛け軸を祀る際の位置や方角、外すときの作法、そして日々の扱い方について詳しく解説します。
掛け軸を飾る位置・方角・高さの基本ルール
天照大御神の掛け軸を飾る最も理想的な場所は床の間です。
床の間は本来「神仏をお祀りする空間」であり、最も清らかな気が流れる場所とされています。
もし床の間がない場合は、静かで清潔な壁面に掛けるのでも構いません。
大切なのは、人の目線より高い位置に掛け、見下ろさないことです。
掛け軸の本紙（絵や文字が描かれた部分）が座ったときの目線よりやや高く見える位置にすると、最も美しくバランスよく見えます。
方角は南向きまたは東向きが最良とされます。
天照大御神は太陽の神であるため、朝日が差し込む東向きや、日光が最も当たる南向きが理想的です。
ただし、家の構造上難しい場合は、清浄で風通しのよい方角であれば問題ありません。
| 要素 | 理想的な条件 | 注意点 |
|---|---|---|
| 設置場所 | 床の間（または静かな壁面） | 直射日光・エアコンの風を避ける |
| 高さ | 座ったときに文字の中心が目線よりやや上 | 見下ろす位置は避ける |
| 方角 | 南向き・東向き | 湿気の多い壁面は避ける |
掛け軸は「飾る」よりも「祀る」という意識を持つことが大切です。
丁寧な設置が、神様への敬意を自然に表す最初の一歩となります。
外すときの作法と注意点
掛け軸を外すときも、飾るときと同じく丁寧さが求められます。
誤った方法で外すと、掛け軸が傷んだり、折れやシワの原因になってしまいます。
以下の手順を守ることで、掛け軸を安全かつ美しく保管できます。
① 外す前の準備
手を洗って清潔にし、乾いた状態にします。汚れや水分が付着すると、シミの原因になります。
掛け軸を巻くスペースを確保し、清潔な布や和紙の上で作業を行いましょう。
② 下からゆっくり巻き上げる
掛け軸の下部の軸先を両手で持ち、左右均等の力でゆっくりと巻き上げます。
きつく巻きすぎるとシワや折れの原因になるため、少し空気を含ませるように柔らかく巻くのがポイントです。
③ 掛け緒（かけお）を外す
半分ほど巻き上げたら、片手で支えながら矢筈（やはず）を使って掛け緒から外します。
このとき掛け軸本体に力をかけすぎないように注意してください。
④ 巻き終えたら風帯を整える
風帯（ふうたい：上部から垂れる飾り帯）を巻き込まないように、下に折り畳んで整えます。
その後、巻紐を3周ほどかけて軽く固定します。
⑤ 桐箱に収納
巻き終えた掛け軸を桐箱に収納します。桐は湿度を自動調整する性質があり、掛け軸を守る最良の素材です。
薄い和紙で包んでから収納すると、さらに防湿効果が高まります。
| 工程 | 目的 | ポイント |
|---|---|---|
| 手を清める | 汚れ防止 | 濡れた手厳禁 |
| 下から巻く | 折れ防止 | 均等な力でゆっくりと |
| 風帯を整える | 形を保つ | 巻き込まない |
| 桐箱に収納 | 湿気対策 | 和紙＋防虫香で保護 |
掛け軸は「外す日」も祈りの日と考えると、より丁寧な所作になります。
神様への感謝を込めて、一つひとつの動作を穏やかに行いましょう。
掛け軸を取り扱う際のマナーと心得
天照大御神の掛け軸を扱う際は、日常の小さな心配りが何より大切です。
神様の御名が記されたものですから、装飾品ではなく「祈りの象徴」として接する意識を持ちましょう。
- 掛け軸に触れる前に手を洗い、乾かす。
- アクセサリーや時計を外し、掛け軸を傷つけないようにする。
- 掛け軸は片手ではなく両手で扱う。
- 長期間飾りっぱなしにせず、2〜3ヶ月ごとに休ませる。
- 汚れやカビを見つけたら、自分で拭かず専門家に相談する。
また、掛け軸を飾っている期間は、定期的に柔らかい刷毛でほこりを払うと良いでしょう。
光の当たり方や湿度にも気を配ることで、美しさと清浄さを長く保てます。
「掛け軸を守る＝神様を敬う」という心構えが何より重要です。
扱う所作そのものが信仰のかたちとなり、家全体を清めてくれるのです。
天照大御神の掛け軸は保管も大切：長持ちさせるお手入れ術
掛け軸は、飾るだけでなく「どのように保管するか」で寿命が大きく変わります。
特に天照大御神の掛け軸のように神聖なものは、丁寧な保管と定期的な手入れが欠かせません。
この章では、湿気・日光・ほこりから守るための環境づくりや、素材別のメンテナンス方法、トラブル時の対応を解説します。
湿気・日光・ほこりから守る保管環境
掛け軸の三大天敵は湿気・日光・ほこりです。
和紙や絹でできた掛け軸は、非常に繊細で、少しの環境変化でも劣化が進みます。
最適な保管環境を整えることが、何十年も美しく保つための第一歩です。
湿気対策
湿気は掛け軸にとって最大の敵です。湿度が高いとカビやシミが発生し、裏打ちの糊が剥がれる原因になります。
- 保管場所の湿度は50〜60％が理想。
- 除湿剤や桐箱を利用して湿気をコントロール。
- 梅雨前と秋の年2回、晴天の日に虫干し（むしぼし）を行う。
日光対策
直射日光や照明の紫外線は、紙や絹を変色させます。太陽神を祀る掛け軸とはいえ、日光には要注意です。
- 飾るときは窓から離れた場所を選ぶ。
- 保管時は遮光カーテンや布で覆う。
- 紫外線カット照明を使用すると理想的。
ほこり対策
ほこりはカビの栄養源になります。保管時も飾っている時も、清潔な環境を保ちましょう。
- 飾っている間は週に一度、柔らかい刷毛でほこりを払う。
- 保管前には必ず表面のほこりを除去。
- 空気清浄機の使用も効果的。
桐箱での保管が最も安心
掛け軸の保管には、桐箱が最も適しています。
桐は湿度を自然に調整し、防虫効果があるため、古くから美術品の収納に用いられています。
桐箱の中に薄い和紙で包んだ掛け軸を入れ、防虫香を一緒に入れておくとさらに安心です。
「湿気を避け、光を避け、清潔に保つ」──この三原則が掛け軸を守る基本です。
素材別に見るメンテナンスのコツ
掛け軸は素材によって手入れ方法が異なります。
素材を理解し、それぞれに合ったお手入れをすることで、劣化を防ぐことができます。
紙本（しほん）タイプ
- 湿気に弱いが、修復がしやすい。
- 保管時は和紙で包み、乾燥剤を入れる。
- 折れやシワを防ぐため、巻くときは強く巻かない。
絹本（けんぽん）タイプ
- 高級感があり光沢が美しいが、非常に繊細。
- 直射日光を厳禁とし、湿度と温度を一定に保つ。
- 絵具の剥がれや変色が起きた場合は、必ず専門家に修理を依頼する。
表装（裂地）の部分
- 金襴（きんらん）や錦織（にしきおり）は光や湿気で変色するため注意。
- 布部分のほこりも、柔らかい刷毛で軽く払う程度に。
素材の違いを理解してこそ、本当に掛け軸を「育てる」ことができるのです。
トラブル別（カビ・折れ・変色）の対処法
どんなに気をつけていても、長い年月の中でトラブルが起こることはあります。
ここでは、よくあるトラブルとその正しい対処法を紹介します。
カビが発生した場合
- 自分で拭かないこと。カビの胞子を広げてしまう危険があります。
- 乾いた晴れの日に陰干しし、状態を確認する。
- 広範囲のカビは、表具師や修復専門業者に相談。
折れ・シワができた場合
- 巻き方が強すぎたり、長期間飾りっぱなしが原因。
- 自分で伸ばそうとせず、修理専門家に依頼する。
- 今後は2〜3ヶ月ごとの掛け替えを習慣にする。
変色した場合
- 日光・照明・経年酸化が主な原因。
- 自然な古色は「味」として受け入れるのも一つの考え方。
- 絵具や墨の退色が進んでいる場合は修復を検討。
掛け軸のトラブルは「早期発見」と「専門家への相談」が鉄則です。
放置すればするほど修復費用も高くなり、完全に直せないこともあります。
日頃の予防が最も効果的な手入れ
- 湿気の多い季節は除湿機を活用。
- 桐箱の防虫香は年1回交換。
- 年に2回、掛け軸を桐箱から出して虫干し。
掛け軸は「飾って楽しみ、手入れして育てる」もの。
日々の少しの心配りで、天照大御神の掛け軸は何世代にもわたり、家族を照らし続けてくれます。
掛け軸を新調・処分する時期と正しい方法
どんなに丁寧に扱っていても、掛け軸は時の流れとともに少しずつ劣化します。
特に天照大御神の掛け軸のような御神号は、家族を何年も見守り続ける存在ですから、いざ新調や処分を考えるときには正しい手順を踏むことが大切です。
ここでは、掛け軸を新しくするべきサインや、古くなった掛け軸を供養・お焚き上げする方法を解説します。
新しい掛け軸に変えるべきサインとは
掛け軸は、手入れ次第で100年以上保つことも珍しくありません。しかし、以下のような兆候が見られる場合は、新調または修理を検討しましょう。
| 状態 | 原因・特徴 | 対応策 |
|---|---|---|
| 裏打ちの浮き | 湿気や経年による糊の劣化 | 専門業者に裏打ち直しを依頼 |
| 折れ・シワ | 長期間掛けっぱなし、または強く巻いた | 早めに修復、再表装を検討 |
| カビ・シミ | 湿気や保管環境の悪化 | 軽度ならクリーニング、重度なら新調 |
| 色あせ・変色 | 日光や紫外線の影響 | 修復が難しい場合は新しい掛け軸へ |
また、掛け軸の紐（掛け緒）や軸先が緩んでいる場合も交換のサインです。
破損したまま使用すると落下や破れの原因になるため、早めの対処を心がけましょう。
「まだ使える」ではなく「美しく祀れるか」で判断することが大切です。
古い掛け軸の供養・お焚き上げの流れ
天照大御神の掛け軸は、神聖な御神号です。そのため、処分の際には必ず供養（魂抜き）を行うのが正しい方法です。
単に捨てるのではなく、神様への感謝を伝える心をもって送り出しましょう。
① 閉眼供養（魂抜き）を依頼する
まずは掛け軸に宿った魂を抜く「閉眼供養（へいげんくよう）」を行います。菩提寺や地元の神社に依頼すれば、読経や祈祷を通じて丁寧に供養してくれます。
費用は数千円〜1万円程度が一般的です。
② お焚き上げで浄化する
閉眼供養を終えた掛け軸は、お焚き上げで天に還します。これは、神仏への感謝と共に清めの儀式でもあります。
お寺や神社で受け付けている場合が多く、郵送対応のお焚き上げサービスも増えています。
③ 清め塩で清めて廃棄（簡易法）
供養やお焚き上げが難しい場合は、白い紙の上で清め塩を左・右・左の順で振り、感謝の言葉を述べてから廃棄します。
この場合も、必ず燃えるゴミとして可燃物と分けて処分します。
大切なのは「感謝して手放す」こと。
長年家族を見守ってくれた掛け軸を、丁寧に見送ることが信仰の礼儀です。
購入時に選ぶべき素材・絵柄・書体のポイント
新しい天照大御神の掛け軸を選ぶ際は、信仰としての格式と家庭の調和を意識しましょう。
以下の3つの視点から選ぶのがポイントです。
① 素材の選び方
- 耐久性と手入れのしやすさを重視するなら紙本
- 高級感と輝きを重視するなら絹本
紙本は価格も手頃で、天照大御神の御神号には一般的に用いられます。
② 書体の選び方
- 楷書体：格式が高く、堂々とした印象。もっとも人気。
- 行書体：やや柔らかく、優美な雰囲気。
御神号には読みやすく格調高い楷書体が最適です。
③ 表装とサイズ
- 床の間の横幅の約1/3サイズが美しく見える。
- 格式を重んじるなら本表装（金襴・錦織）を選ぶ。
- 現代住宅では半表装（シンプルな裂地）も調和しやすい。
| 床の間の幅 | おすすめ掛け軸サイズ |
|---|---|
| 一間（約180cm） | 尺五立（61×191cm）〜尺八立（71×194cm） |
| 半間（約90cm） | 半切立（51×181cm）〜尺巾立（47×181cm） |
新しい掛け軸を迎えるときは、古い掛け軸に手を合わせ「これまでありがとうございました」と感謝を伝えてから飾りましょう。
それが最も美しい「祈りの継承」です。
天照大御神の掛け軸は、家族を照らす光の象徴。
古きを敬い、新しきを迎えるその瞬間こそ、信仰の新しい始まりです。
まとめ：天照大御神の掛け軸は「信仰と暮らしを結ぶ象徴」
天照大御神の掛け軸は、単なる飾りではありません。それは、家族の心を照らし、日々の暮らしを守る「祈りの象徴」です。
日本人が古来から大切にしてきた「目に見えないものを敬う心」を、今に伝える存在でもあります。
第一に──意味と信仰
天照大御神は太陽の神であり、光・秩序・調和を司る日本の最高神です。
その御名を記した掛け軸は、ご神体と同じように家を清め、家族の繁栄を祈る「御神号」としての力を持ちます。
朝に手を合わせるだけで、日々の暮らしが少しずつ整っていく――そんな静かな信仰の形こそ、現代に生きる日本人の心の支えなのです。
第二に──飾る期間と扱い
正月に飾る場合は松の内までが一般的ですが、年中掛けとして一年を通して祀ることも問題ありません。
重要なのは「いつまで飾るか」よりも「どのような心で祀るか」です。
2〜3ヶ月ごとに掛け替えて湿気を防ぎ、神様への敬意を新たにする――その習慣が掛け軸を長持ちさせ、家の中に良い気をもたらします。
第三に──祀り方と保管の心得
飾るときは南向きまたは東向きに。人の目線より少し高く掲げ、直射日光を避けること。
外すときは丁寧に手を清め、ゆっくりと巻き、桐箱にしまう。この一連の動作すべてが「祈りの所作」です。
湿気・日光・ほこりを避け、年に2回の虫干しを行うことで、掛け軸は次の世代まで美しく残ります。
第四に──世代を超えて受け継ぐ
掛け軸は、先祖から受け継いだ「心」と「祈り」の形です。
古い掛け軸を手放すときには感謝を込めて供養し、新しい掛け軸を迎えることで信仰が次の時代へと受け継がれます。
それは、神様と共に歩む家庭の歴史を新しく紡ぐ行為でもあります。
天照大御神の掛け軸は、暮らしと信仰をつなぐ「光の架け橋」。
日々の感謝を形にし、穏やかで調和のある家庭を守るために、今日からできる祀りを続けていきましょう。
──光が差すところに神は宿る。
天照大御神の掛け軸は、これからもあなたの家と心をやさしく照らし続けてくれるでしょう。